ウチキフィルム | ウェディングムービー・結婚式エンドロール撮影

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結婚式とアフターコロナ(これからの結婚式のこと)

4月17日。
本当なら今頃、名古屋で前撮りをして、そのまま土曜日には名古屋の会場で撮って出しをしている予定でした。
もちろん今そんなことが出来る訳もなく、家にいます。
2日~3日に一度、食料の買い物に行くくらいの生活。
じっとしてます。

今にして思えば、2か月前の2020年2月からコロナウィルスの影響はありました。
一番最初に身近に影響を感じたのは、CP+2020の中止だったと思います。
2019年にも登壇させていただいたPanasonicさんのミニ動画ブースで話す予定でした。

2019年の登壇の時のブログ。
CP+2019パナソニックのミニ動画セミナーで登壇しました!

その代替として企画された動画セミナーが先日公開されました!
一応、動画のリンクを貼っておきます。
ウェディングムービーの最前線で戦うためのGH5/GH5S活用術
(今回のブログの本題ではないので、見なくても大丈夫です!)
こちらの動画は2月28日に撮影したものが公開されています。
2020年9月までの公開となってます。
内容はGH5という今自分が使っているカメラのウェディングでの使用方法やメリットの紹介といった感じです。
それだけだとGH5に興味のない人には得られるものが少ないかなと思いましたので、これからウェディングをやっていきたい人、
または会場提携の撮影会社からこれから独立していく人に向けて、フリーランスのウェディングビデオグラファーが置かれている現在地について話しました。

機材や集客の環境、ウェディングの多様化など様々な点について触れていますので、特に独立していく人には知っておいた方がいいよっという話は出来たと思います。
(ただあくまでもカメラの紹介なので、そういう意味ではちょっと雑多な、散らかった内容であることも否めないです)

こちらの動画が公開されたのが、3月24日。
まさにその日に東京オリンピックが延期になり、その翌日には都知事の会見があり、一気に今現在の状況に至っています。

それまでも確かにいくつかのウェディングが秋に延期になったりはしていました。
それでも何となく、「4月の後半には」とか「5月くらいには」という希望がウェディング業界には漂っていました。
僕らの業界は、そんな風にして危なっかしい綱渡りをなんとか続けていくのかなと漠然と考えていました。

結婚式の現在地

今にして思えば、僕が動画で話をしたことは、ただその時の2月28日までの現在地の話でした。
では4月17日の今現在は?
ちょっと一言では言えません。
あまりに大きな変更を強いられています。
今はもう動画で話をした認識も変わらざるを得ないと思います。
もちろん若干の地域差はまだありますが、ウェディングビデオグラファーの現在地は今どこにもありません。
3密がばっちり揃ってしまう従来の結婚式そのものが成立しえない現在の状況では、当然その時間を残すという職業は存続できません。
ワクチンも特効薬もない以上は、コロナ収束後も今まであったウェディングの姿がそのままの姿に戻るには数年の時間が必要かもしれません。

その間は演出も何もかも、現状に合わせたものになるんじゃないかな。
ゲストの安全を重視すれば、当然そうならざるを得ない。
今出ている宣言が取り下げられたその日から、突然『さぁ、昔のように盛大に飲んで歌おう!』とはならない。
2月~3月くらいまでの「結婚式だから」というお目こぼし的な空気が認められればそうなるのでしょうが、命に関わることなので、そんなに簡単じゃないかなと思ってます。
一部の経済や社会の評論で言われてるように、結婚式もアフターコロナではなくウィズコロナという状況になるんじゃないかなと思います。

会場側は春の予約を秋に移動させて、『はい、おしまい』と考えているかもしれないけど、多分それでは済まないでしょう。
窓や扉を閉められないということは、隣り合った会場での音楽の演出も変わらざるを得ないし、次の組が会場のすぐ外で受付をやっている中、扉を開けたまま花嫁の手紙を読むのかなとか、オペレーションできっと行き詰まる。
窓のないホテルのバンケットで扉を閉めて、照明を見せるためにスモークマシンを使う演出は全然無理だろうなとか。
定員いっぱいの、肩を寄せ合いながらのレストランウェディングの定員も変わっていくだろうなぁとか。
同じくチャペルの定員も変わるし、かと言って溢れた分を立ってもらうと尚更『密』になるし、飛沫の問題でみんなで讃美歌を歌うことも出来ないでしょう。
新規見学のためにスタッフをバックヤードに閉じ込めたり、当日の花嫁同士のバッティングを必死で避けるのとかも、より密を作るだけだから止めようってなるんじゃないかな。
風の強い時、雨の時、街宣車が通るときとか、窓の開けられない状況なんて無数にある。

今年の秋は春のお客様の延期対応で例年以上に会場の秋のスケジュールが埋まっていて、スタッフの手配や時間配分も余裕がない中で施行の対応が迫られる。
残念ながら、新郎新婦も大きな計画変更や演出の変更は覚悟しておく必要があると思います。

そもそも新郎新婦、ゲスト、スタッフの検温して、発熱が分かった時にどうするか?
無理して開催する、無理して参列する、無理して仕事をするという、今までの当たり前が自分以外の人の命に関わってきてしまう。
その行動が誰かを殺してしまうかもしれない。
本当にそういう所から考えると、今までのような『花嫁がこの一日のために魂込めて準備しました!』みたいな結婚式は成立しないと思います。
安全を第一にすると、体温が高いからとその場で帰ってもらうゲストが出てきたり、一年越しで予約したフォトグラファーが37度の発熱で撮影に入れないなんてことが出てくる。
要するに一日に集約すること自体のリスクが高すぎる。
前撮りでフォトウェディングをして、儀式としての式だけを家族や近しい人たちとして、あとは個別に紹介を兼ねたそれぞれのコミュニティ単位での食事会とかを何回かするっていうのが極々現実的な気がします。
そうするとご祝儀(3万~10万)を結婚式の一日に集めるということもなくなっていく。
ウェディング業界を支えてきた根本が崩れて、さぁどうするか?
ウェディング業界全体で考えること、変えないといけないことはたくさんある。
多分、もう考え始めていないと間に合わないと思います。
会場やプロデュースという演出に関する仕事をしている人は特に。

そして、アフターコロナはそういうウィズコロナの後に来る。
それがどんなことになるかは分からないです。
人間生活にあるすべてのものが必ずしも合理性や利便性に従うわけではありません。
FAXはまだ実在しているし、現金もまだまだ普通に使ってる。
そんな感じで以前の通りの結婚式が社会で黙認され戻っていくかもしれません。
どちらに転ぶにせよ、起きたことがなかったことにはなりません。

ウィズコロナの状況下でのウェディング映像とは何か?

もしそんな中でのウェディングムービーという仕事が成立するとしたら、次の3つかなと思います。

一つは挙式の固定カメラなどコストの低い記録映像。
これは会場のシステムに組み込まれていくものでしょうが、結婚式そのものへの花嫁の憧れ(父親と歩くバージンロードとか)は残ると思いますので、記録を重視した誰でも撮れる映像コンテンツというのは挙式にかかわるものだけになるかなと思います。
発展形としての『ライブ配信』もありうるかもしれないです。
今のこのZOOM的な時間共有が、どこまで文化としてお金を払う価値を持つかにかかってる部分は多分にあります。
もし、それがうまくいけばLIVE映像のクオリティ勝負ということが出てくる可能性はある。
チーム化が前提となりますが、そこにビデオグラファーのクリエイティビティが生き残る余地がある。
(ひょっとしたら、それが今の唯一の希望かもしれません)

もう一つはフォトウェディングの動画版。
今でもあるけど、大自然な場所までロケーションに出かけて、ドローンを飛ばしたり、ライティングしたりして、ひたすらカッコよさを追及するウェディングの前撮り映像。
そういった動画を記念として残したり、結婚の報告として近しい人に共有したり、SNSで配信したり。
今でも小さなジャンルとしてはあるし、今後も小さなジャンルとして残っていくと思います。

最後は、結婚式ではなく結婚そのものを映像化するもの。
家族単位での小規模な挙式を一つのゴールとして、2人や家族のドキュメンタリーとして映像を作っていく。
とてもパーソナルなもので、本当の意味での2人と家族の記録でしかないけど、そういうもの。
多分、今のウチキフィルムに一番近い形。

今あるものから予測するしかないので、そんなに新しくも面白味もないですが、僕が思いつくのはこんな感じ。
最初の2つはビジネスとして成り立つかもと思います。
やはり誰かに見てもらうことを前提とした映像はお金をもらいやすいし、払いやすい。
3つ目は今の世の中の価値観だとビジネスとしては成立しづらいかな。残念ながら。

いずれにしても、出来ること全部をやっていかないと、今までの仕事量には及ばない気がするので、今のうちに準備を始めていきたいと思っています。
色々考えて備えて、本当はそれが杞憂に終わればいいなとも少し願っている。
何はともあれ、どれだけ世界が変わっても、絶望しないこと、あきらめないこと。
これまでも何とかなってきたし、これからも何とかなる。

大切なことは変わらないものを自分の中に持つこと。
結局、どんな未来が来ようとも僕は映像を作っていきたいです。
映像が、人生の大切な時間や大切な人の笑顔、そこに流れていた感情を、強く鮮やかに残すことが出来るからです。
どんな形であれ、観る人にとって身近で、個人的で、人生に寄り添っていく、応援していくような、そんな映像を作っていきます。
これからもどうぞ宜しくお願い致します。

ウチキフィルム
打木 健司