2020年、8月21日。
おかげさまでウチキフィルムは6周年を迎えました。
ウチキフィルムを選んでくださったお客様、支えてくださっている関係者に心から感謝しています。
2019年8月と2020年8月。
見据えた未来がこんなにも違うことがあるんだろうか?
きっとウェディング業界に限らず、多くの人が同じ気持ちをどこかで抱いていると思います。
それでも、この現実を受けいれていこうと思います。
何かを諦めたりするわけでなく、一生懸命仕事をしていくだけ。
そんなふうに思っています。
ウチキフィルムのコンセプト
ホームページ冒頭に乗せているウチキフィルムのコンセプトにあたる文章を更新しました。
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ウチキフィルムのウェディングムービーは
「あなた」についての物語でありたいと考えます。
あなたの話を聞いて、あなたを知って、一緒に考えて
思い出の場所やご自宅で普段着の2人を撮影することから始めます。
「まず会場があって、ドレスを着て」という箱の中で行われる
結婚式だけの閉じた物語として語るのではなく
「まず2人がいて、どんな2人で、どんな風に出会い
どんな人に囲まれて、どんな結婚式を挙げて、どんな人生に挑むのか」
そんな広がりを持つ物語として語りたい。
出来上がった世界に一つのウェディングムービーが
あたたかな感動とともにあなたの人生そのものを肯定し、より豊かなものにします。
まずはあなたのお話を聞かせてください。
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新しくしたわけではなく、以前のホームページやブログ・SNSに書いていたことに戻しました。
初心に返り、変わらぬ志をもって新しい現実に向かっていこうと思います。
前撮りとウチキフィルム
コンセプトにもあるようにウチキフィルムは創業から普段着の2人を撮るところから結婚式の撮影を始めてきました。
2014年、ほぼ誰も私服での動画前撮りなんてしてなかった。
それが2020年、私服もドレスでもかなりの業者が動画で撮ってて、オープニングムービーとして普通になった。
結婚式場の提携業者ですら撮ってる。
でもウチキフィルムで前撮りをする目的はオープニングムービーを作ることではありません。
目的は人間を描くこと。
あくまでカップルを「個性をもった2人の人間」として描くための手段。
そのために新郎新婦を結婚式場から連れ出して、ドレスやタキシードではないありのままの姿を撮影する。
前撮りを結婚式の映像のバリエーションの一つとして取り組むか、人間を描くための工程として取られるかで、行き着くゴールは変わってくる。
大切なのは一人一人のビデオグラファーが作り手として、何のために結婚式を撮影するか?ということ。
その「何のため?」によって、撮影を重ねるごと映像に差が出てくる。
僕の場合は「人間を描く」ということにもっと深みを持てたら良いなと思っています。
ムービーで前撮りをする意義
少しだけ具体的に前撮りをするメリットや今考えていることを書いてみます。
まずはメリット。
「ビデオグラファーが2人を知ることができる」のが大きなメリットです。
前撮りの過程で2人と話しながら、関係を築くことがとても大事。
結婚式当日にはもうすでにコミュニケーションが成立しているから、2人のことを探らなくていいし、「気に入られたい」とか思わなくていい。
ブライズルームで目が合って、一言声を掛けるだけで少し緩んでくれる。
それが最強。
だから当日はただただ『良い撮影をする』『純粋に祝う』ということに集中できる。
もう一つのメリットは「結婚式当日の進行で表現できていない要素を加えることが出来る」ということ。
結婚式や披露宴で起きるすべてを映像で記録したとしても、2人の結婚のすべてを表現することができるわけではない。
ムービーの中で2人の出会いを表現するのに、司会のプロフィール紹介を引用しても味気ない。
それなら出会った場所に行って、2人に昔話でもしながら歩いてもらったほうが、ずっと素敵。
他にも、たとえば花嫁のお手紙を読むのをためらう新婦もいます。
「泣いてしまうし、絶対無理!」みたいな。
でも伝えたい感謝はある。
想像するだけで泣いてしまいそうな、溢れるような想いがある。
そんな想いだって、前撮りで表現して、補うことは出来る。
結婚式場の綺麗な箱の中で、完璧にメイクされて、美しいドレスをまとう。
でもドレスをまとうのは紛れもない一人の人間で、そこまでの人生がある。豊かな物語がある。
新郎にももちろん、同様に人生の流れた時間、同じように豊かな物語がある。
ウェディングムービーは、そんな2つの重なりを表現をする、無限の可能性をもっている。
「映像で結婚式を完成させたい」
使い古された陳腐なフレーズではあるけれど、今は映像の時代。
友だちのバースデーだって、BBQだって映像を残せる。
そんな感覚が当たり前になった今、個人で人生のイベントの映像を残すという行為は結婚式だけに限った話ではなくなった。
ウェディングムービーは結婚式という特別な世界の中だけの、特殊な映像ではいられないと思います。
意味のないスローモーションやモノクロや安っぽいオールドフィルムといった、不思議な伝統芸能に満ちた記念品にもう誰も意味を見出さなくなる。
フラットに映像を見て、評価される。
そんな時代に映像がウェディングに果たす役割は何か?
そもそもの結婚式を挙げる人が減って、コロナでそれがもっと進む。
コロナで本当に困っている新郎新婦がたくさんいる時に、その痛みを世の中のどれだけの人に届いているだろうか?
ブライダル業界の閉じた世界で、興味のある人が見て、「あぁ綺麗ね」っていうのはもういらない。
僕は映像の力を使って結婚式そのものをもっと大きなもの、伝わるものにしたい。
それには物語の力が必要だと思う。
結婚式場の箱の中の話じゃなくて、すぐ隣にいるような人たちの欠けがえのない人生の話にしたい。
結婚式はどれもそんな、すぐ隣にいる誰かの特別の物語。
だから僕は「映像で結婚式を完成させたい」
結婚式場にない要素は撮りに行けばいい。
結婚式の大切なことは結婚式場に詰まっているなんて幻想は捨てよう。
だれも何も禁止してない。
結婚式に足りないものは映像でいくらでも補って、美しい物語を作ることは出来る。
小手先の「映画みたいな」、「PVみたいな」じゃだめだと思う。
それは「みたいな」だけで本当の映画やPVに負けてしまう。
どっかから持ってきたフレームや付け焼刃のテクニックなんかいらない。
結婚の本質を提示したい。
そしてそれは究極、2人の人間の重なり合った人生を描くこと。
それが出来るのが僕ら、ウェディングを撮影している人間の特権であり、最善のこと。
そんなことを最近は特に考えています。
これからのウチキフィルム
今年の夏はいつも以上に時間があり、これまで担当させていただいたお客様と連絡を取らせていただきました。
近況をお知らせ頂いたり、お子さんのお誕生日の撮影に呼んでいただいたり。
結婚式を挙げる前からたくさんお話をさせていただき、結婚式の当日を特等席で共有させていただいた2人の未来が目の前にある。
ふと頭の中に「Thank you for being part of my life」という言葉が浮かんできます。
以前、お客様から頂いたお手紙の中にあった一節。
お客様のその後の人生に触れるたびに、その時間が紛れもなく僕の人生の大切な一部でもあるという感覚。
本当にありがたい気持ちでいっぱいになります。
映像で結婚式を完成させる。
でもそんなカップルの未来に触れるたびに、僕がつくる映像はまだ完成していないということを知る。
ふと新しいアイデアが降ってきて、今はワクワクしています。
これからのウチキフィルムもどうぞ楽しみにしていてください。
ウチキフィルム 打木 健司