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結婚式ムービーの音楽著作権料について解説します

結婚式ムービーの音楽著作権料について

今回は結婚式でムービーに市販の楽曲を使用する場合の音楽著作権の費用について、書いておきたいと思います。
まず立場を明確にしておくと、ウチキフィルムはアイサムの登録事業者ということでジャスラックと包括契約をしている映像制作の事業者にもなります。
ジャスラックには色んな問題はあるかもしれませんが、アーティストが人生を掛けて、魂を込めて制作した作品を商用利用する場合には、相応の対価が支払われるべきだと考えてますし、当たり前に法律で規定されている他者の権利を尊重しながら事業をしていきたい考えています。
なので、アイサムやジャスラックの見解と争う気はありません。
※著作権・著作隣接権とありますが、今回の内容はそこにかかる「費用」が主題なので、かなりざっくりとまとめて「著作権」と書いていきます。

【もくじ】
・実際の著作権の費用はいくらなのか?
・プロフィール・オープニング・エンドロールの楽曲使用料
・記録ビデオの楽曲使用料
・申請作業について
・著作権問題は解決したのか?
・今回の記事を書くきっかけになった出来事

実際の著作権に関する費用はいくらなのか?

これから結婚式を挙げるほとんどのカップルは今までの人生で、仕事などの商用目的で市販の楽曲を使用するための権利処理をしたことはないと思います。
だから著作権料をきっとすごく高額ものだと思っている人もいるでしょう。
実際にそこを利用して、会場の提携業者も提携業者で手数料をしっかり目に取っていたりもするのも現実です。
実際の金額(実費)がいくらくらいなのか?
結婚式に関する著作権費用について、権利処理を代行しているアイサムのホームページに具体的な料金表があります。
よかったら下記リンクを覗いてみてください。
アイサムホームページでの音楽著作権の料金表

どうでしょう?
正直、わかりにくいですよね笑
なので、ケースに応じて、実際にいくら掛かるのかを書いていきます。

プロフィール・オープニング・エンドロールの楽曲使用料

披露宴の中で上映される映像、いわゆる演出ビデオについて。
この場合はだいたい1曲で作ることが多いかと思います。
1曲で制作する場合はジャスラックの楽曲の場合は5,000円弱、ネクストーンの楽曲は3,000円ちょっとという感じ。
プロフィールムービーの場合は3曲で制作することも多いので、その場合はジャスラックの楽曲だと10,000円ちょっと。
(ネクストーンとジャスラックの組み合わせの場合等はパターンがあるので割愛します。)

記録ビデオの楽曲使用料

続いて記録ビデオに実際に会場で流れている音楽を収録する場合の料金。
挙式披露宴で演出時に使用される楽曲ってだいたい20曲くらい。
以前は1曲あたりいくらを足していく感じだったので、著作権の権利処理費用が記録ビデオの販売価格を超えてきちゃう感じでした。
それが2022年くらいから、レコード協会管轄の著作隣接権とジャスラック管理の楽曲が、結婚式1件当たりまとめての金額で申請できるようになったので、価格感がかなり変わってます。
まずはジャスラック管理の楽曲だけの挙式披露宴の場合、22,000円くらい。
ネクストーン管理の楽曲は、1曲ごと、1分ごとに金額が違うので、具体的な金額は出しづらいです。
とはいえ、ネクストーン管理楽曲だけですべての選曲をするということはあんまりないかなぁという気もしますので、ジャスラックの金額にさらにネクストーンの楽曲分を加算するイメージです。
今年の4月からアイサムが生演奏にも対応したので、アイサムに登録がある楽曲で選曲さえしていれば30,000円くらいの追加料金で、当日の音声をほとんど残した状態で記録ビデオを納品出来ます。
この金額をどう捉えるかは人それぞれですが、ウェディング業界全般のオプション料金の中ではなくはない価格感なのかなという印象です。

申請作業について

アイサムへの権利処理の申請は登録事業者のみが行います。
事業者なので、その申請に手間が掛かれば、相応の手数料が掛かります。
演出の楽曲申請については、だいたい1曲なので3分くらいあれば出来ます。
記録の場合は15曲~20曲くらいを申請登録したりすると、初めての場合は1時間ちょっと掛かります。
なので、記録ビデオに関してはその作業分くらいの追加料金(手数料)は別途欲しいなと僕は感じます。
規模が大きい会社なら、過去に登録している楽曲が多いので、もう少し時間は圧縮できるとは思いますが、それでもそれなりの時間は掛かります。

著作権問題は解決したのか?

記録ビデオに関する料金が落ち着いてきたこと、生演奏もアイサムで権利処理可能になったことで、権利処理の環境はかなり整ってきました。
業者としては、以前のような記録ビデオが提供出来る状況に変わりました。
唯一の問題は「当日のBGMをアイサムの登録楽曲だけで選べるか?」どうかということ。
この辺はウェディング業界全体でアナウンスが必要なんじゃないかなと思います。
ウェディング業界の人と音楽著作権の話をしても「ふ~ん大変だね」くらいのリアクションがほとんど。
映像に関わらないと、特に記録ビデオの著作権の話はほとんど知りません。

結局のところ、本当の問題は業界全体、社会全体の「著作権」という権利に対するリテラシー。
まずは知識のアップデートして、認識を共有する。
そして新郎新婦に早い段階でちゃんと情報を伝えることが大切です。
それこそ会場が決まった直後くらいから伝えた方が親切だと思います。
使いたい曲を心に決めてから収録できない・使えないことが分かるよりは、決める前に収録できない・使えないと分かった方がショックは少ないことが多いんじゃないかな。
元々制約があるということが分かっていれば、全BGMをディズニーの楽曲で選んだ結果、記録ビデオの納品後に現場のBGMが何も残せてない(そしてそれはお金でも解決できない)ということはなくなると思います。

今回の記事を書くきっかけになった出来事

今回は結婚式のムービーに関する音楽著作権の費用の話をまとめました!
このトピックについて書こうと思ったきっかけは2つあります。

1つは持ち込みNGの会場のお客様と話した時。
話の流れで記録ビデオの話になった時に、その会場ではBGMをそのまま残す場合は10万円くらい追加料金が掛かるというお話をしてくれました。
1時間くらいの作業で実費の3倍、飲食店のお酒の値付けと同じくらいなのでぼったくりとまでは言いませんが、しっかり取るなとは思いました。
実費は2~3万円くらいですよって伝えたら、「えっ?」って感じでした。
処理にかかる費用はアイサムのホームページで公開されている情報なので、なるべく多くのカップルに共有しておきたいなと思いました。

2つ目はコロナ前から付き合いのある写真撮影業者さんから記録ムービー撮影の依頼があった時。
「権利処理しますか?しないならお断りします」と返信しました。
その返信で『「映り込み」という認識なので、権利処理はしてません。逆に業界的に最近どんな感じなんですか?』と聞かれた時に、こんなにも認識も知識も遅れてるのかぁと悲しい気持ちになって、カップルだけじゃなくプランナーや業界全体の知識をアップデートしないとダメだなと感じました。
映像に付随する音楽を主として撮影している動画に対する「映り込み」として、そのまま納品している事業者がいますが、特に演出で使われる音楽をそのまま収録する場合には、権利処理が必要というアナウンスをジャスラックもアイサムもしっかりと出しています。

ジャスラックの見解

もし、すべての音楽が「映り込み」であるなら、それを消したり差し替えても映像の価値を毀損するものではないはずなので、わざわざ権利者の意思に反するビジネスをすること自体に理屈が通りません。
そういう人や業者はきっと自分の都合だけで根本的に音楽文化に対するリスペクトがなにもないんだろうなと思いますので、ぜひ訴えられていただきたい!笑
そして誰にもわかりやすい音楽著作権の「裁判例」「判例」としてウェディングムービーの歴史で燦然と輝いてほしい笑
(最後はただの毒吐きですみません笑、ただただ法律的にフェアな競争を望んでいるだけです)

そんなわけで音楽著作権のお金のお話をしました。
結婚式を準備する上で、参考にしていただければ嬉しいです!

ウチキフィルム 打木 健司

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